日常

ただただ牛肉が食べたかった職業不定31歳独身男性が精肉売り場と家路で涙

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ある日の仕事終わり。
連日連夜の軟禁仕事に身も心も疲れ果て、
ため息まじりに退勤。
ふと、思った。
『焼肉が食べたいです』
男は焼肉を食べたいと思った。
しかし、手元には握りしめる程度の小銭しかなく、
銀行で降ろしてまで焼肉屋に向かうのもだるい…
『そうだ。家で焼いて食おう。』
家焼肉。名案である。
そうと決まれば疲れた体にムチ打って、
帰り道を少し迂回して遅くまで営業しているスーパーへ。
車を止めると早々に精肉売り場へ。
鶏肉とぶた肉のコーナーを小躍りしながら華麗にスルー。
今だけはせせりも豚トロもオレには刺さらない。
今日の口は牛肉を求めてしまったんだっ。
到着した牛肉コーナーには目移りするような種類豊富なお肉たち。
『お腹すいたなぁ』
それでも肉選びは慎重に。後悔先に立たず。満足な焼肉にしたいっ。
ここでとある朗報に気付く。
割引シールの存在だ。
『ありがてぇ…』
この世界は優しさに満ち溢れてるなぁ。
嬉しくて肉食べながら泣いてしまうかもしれない。いや、きっと泣く。嬉しさと美味しさで泣いてしまう。
今日は塩味がいつもより効いてますね〜。なんて展開になるかな?ならねーよ!
そんな1人ノリツッコミを入れながら肉選びを再開。
『ん?半額とはいえ…』
男は気づいた。
『半額シールはもともとお高い肉にだけ貼られているんだな…』
¥1800→¥900…
¥1500→¥750…
¥1200→¥600…
うぅん…やすいのはありがたいがベースが高いから支出的にはそう変わらんな…
なんとか安くて割引シールが貼られてるお肉がどっかにのこってないかしら…
安価のお肉を見比べてもそこには割引シールはいない。
それでもなんとか安いお肉で…
お肉を食べたい一心で懸命に選ぶ。
美味しそうなお肉を。安価なお肉を…
と、
そんな自分に思った。
『たこ焼き粉にまみれたハゲ散らかしたいい歳こいたおっさんが、夜のスーパーの精肉売り場で右往左往する姿って…側から見たらなんて思われてるのだろう…あまりにもみすぼらしいのではなかろうか…』
そもそも賑わっている時間ではないため人の目もそうそうないわけだが、自虐に走るととめどないもので、
連日連夜の仕事の疲れもあってか、
『何やってんだよ俺は…』
そう思うと涙が出てきそうになった。
そんな中、
『これは…どうかな…』
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サガリという部位のお肉を手に取った。
人目を気にする中ようやく手に取ったお肉。
『うん(^^)美味しそう(^^)』
サガリってどこだ?そうも思ったけど、タレの具合が美味しそうだ。
これにしよう。
そう決めると軽やかに会計を済まして車に乗り込み発進。
少し自分を第三者目線で見たときに悲しい気持ちにはなったけど、お肉が買えてよかった。
そんな安堵も長くは続かなかった。
『この価格なら、もっと高いお肉を半額で買ったほうがよかったんじゃないかな…』
気付くと気になる一方で、
『絶対そうだ…きっとそうだ…』
確信に変わっていく。
『俺は肉もまともに買えねーのかよ!』
焼肉屋へ頻繁足を運んでたのも今は昔。
今では焼肉屋へ寄る金も持ち合わせてないただのビンボーハゲ親父。
こんな人生のはずじゃなかったのに!!
31年生きてきてなんどこう思ったことか。
帰宅と同時に疲れがどっと出た。
そんな辛い気分もここまで。
ここからは楽しみにしていたお肉タイム。
焼いていきます。
ジュージュー
出来ました。
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こんな写真でも、カメラセンスのないオレにしてはまずまずの出来。
美味しそうに伝わらない人には申し訳ないが、各自で上位互換をお願いしたい。
やっと空腹を満たすとき。
精肉売り場でのみすぼらしい自分も、
帰宅時の後悔の念も、
全てさよなら。
そっと一口食べて涙が出てくる。
疲れた体に念願のお肉が入ってくる…
『サガリまずい!』
いつもより塩味が増すどころか、臭みがすごかった。
肉も買えないのか…涙が止まらない。