稼働日記

翌日潰れるお店に22:15分からのお礼を込めた遊技

時刻は22:15。
こんな時間に22:45分閉店の店に入店すると言えば、せいぜい閉店チェックする時くらいだろうけど、そんなものしばらくした事もない。
閉店チェックなんて現在の立ち回りとは無縁のものになってるし、さほど設備機器を労力でカバーするほど旨味のある店もない。
そう。22:15から、しっかりと打ちに来たのだ。
しっかりとと聞くと期待値に目がいきがちだが、この日はしっかりと遊技しに来た。
パチンコ屋に本来あるべき形で来店したのだ。
この日の俺は一般客。
とは言え、この店での期待値稼働が実った覚えなどない。
店にとったらいつだって一般客だったのかもしれないが、
この日は自他共に認める一般客だったという事だ。
そんな一般客としての来店もこの日で最後。
なぜなら、明日には潰れてしまうお店だからだ。
中型店舗と小型店舗の、その間くらいの設置数をほこるこの店は、
買収される事が決まった半年前から、新台入替をぱったりとやめ、
社長の指示である”もう出すな”という指示をしっかりと守った結果、
驚くほどの低稼働店舗になってしまっていた。
元々地域一番店であったとかそんな事はないが、
住宅地が近くにあるのも手伝って、近隣の大型店からこぼれたお客の受け口にはなっていて、そこそこの稼働率は保てていたが、今となっては無残な程だ。
この店には名前も知らない知り合いが勤めている。
俺がパチンコ屋で働いてた頃のお客さんで、
来店の度に仲良くなり、連絡先はおろか名前も知らないなりに、お互いに礼儀を持ち接することのできる関係になっていた。
その人の退職に、せめてユーザーとして立ち会いたかった。
その人は期待値稼働などする人ではなく、
俺だけハイエナで来店してばかりの関係に終止符を打ちに来たわけだ。
かるく挨拶から店内を巡回。とは言え悩む時間もなければ、当然選択肢はAタイプ限定となってくる。
5スロでも良かったけど、
純情な感情は1/3も伝わらないって聞いた事があったので、
1/4レートなんてもってのほかだと思っての選択である。
そんな中で選んだ台が。

バーサス。
アクロスのリメイクシリーズの人気機種。
下の甘さに完全にもたれかかった稼働ではあるが、
BIG偏向タイプなので、ワンビッグ引ければほぼチャラ、+@で勝ちが見えてくる。
データ機には少ない試行回転数ながらも、BIGは6以上、バーは1以下という、完全なる引頼りの数値に仕上がっていた。
まぁ、何を打っても1なのは間違いないため、データ機なんて意味がない。
パチンコ屋に平等が訪れたら、まさにこうなるんだろう?
その時代を待たずして平等に成り下がったこのホールには頭さえ下がる。
(色々下がりすぎ)
早速打っていく。
打ち始めて早々に、そう言えばこの店のBGMは邦楽だったんだなぁと気付く。
旅打ち含め様々な店舗に足を運んで来たが、邦楽を流す店は超高確率で稼働が落ち込む傾向にある。
(他にも、ガラスや看板に外国人の写真などを使用する店舗は繁盛店舗率激低など)
しかも有線の90年代ヒットメドレーあたりだろうか?ドンピシャ世代の曲が繰り返していたのだが、
そんな中流れて来たのが華原朋美。
そりゃ華原朋美と言えば、一時期メンタルをやられて活動休止していたものの、全盛期にはヒット曲を連発していただけに、有線に盛り込まれていてもおかしくはないのだが、
数あるヒット曲を持つ華原朋美の中から流れて来た曲が
『諦めましょう』
潰れる前日に流すにはもってこいと言うか不謹慎と言うか…
『諦めましょう~諦めましょう~スッキリしましょう~パッパッパヤッパ♪』
なんとも締まりのない曲である。
気を取り直して台に集中。
それにしても不思議なもので、
設定1とわかっているのに期待感を持って打てるのは、
いかに俺がギャンブル依存症であるかを証明している。
俺が思うに、ギャンブル依存症対策として色々新たな規制が話題に上がるが、俺は換金税をとっとと取って、勝ち負けを上手く管理し、負けてる人にだけギャンブル依存症の対策を施せばいいではないかと思っている。
稼ぎとしてしのぐ人も安価ながら換金税を納める人には依存症対策を施さず、そのまま税収の確保に時間を費やして貰えば、まさにwin-win。
もちろん等価が絶対条件にはなるが、パチンコ屋への売り上げ圧迫を、頭ごなしにするよりもよほど効率がいいし、
一定額以上の負けさせないように、ホールも還元傾向に走ってくれれば御の字。
後はメーカー一強の現象をどうにかすればよし。ま、それが一番難題だが。
話がそれてしまったが、バーサスに戻す。
打ち始めて3k。挟み打ちでバーが上段テンパイする形から、中リールスイカ上段停止のリーチ目で、バー当選。
ノーボーナスフィニッシュは免れたが、バーだけでは投資の3kを捲れるわけもなく、
勝ち負けを度外視しても、余りにもさみしい結果ではないか。
当然即やめなどせず、時間がある限り続行。
それが功を奏したのか、100g以内に再度同じ形のリーチ目からボーナスに当選…

バーである。
うーむ、ビッグが遠い…何のためにBIG偏向タイプを選んだのかさっぱりわからん。
このままでは倒産じぃじではなく倒産(する店で)バーバーじゃないか(謎)
2連続でバーを引いたものの、持ちメダルは全て飲まれ、閉店直前に追加投資。
俺が彼の最終勤務日に最後の客になると決めている。
しかし無残にも残り数枚のメダルを手元に残したまま閉店。
まさか華原朋美の歌が流れていないのに頭の中でリピートするタイミングがくるなんて思いもしなかった。
最後の客として景品交換をして、貰った端玉景品がジョアとヤクルト。
乳酸菌飲料と乳酸菌飲料の組み合わせを渡すか普通?
悔しいながら、潰れるべくして潰れた店と言えよう。
ここ最近では出玉以外の部分で客を満足させる取り組みや、他店との差別化を図るサービスが行われつつあるが、
先駆者が切り開いたアイデアを、余りにもお粗末な劣化版二番煎じで、
あたかも”これでどうだ”というどや顔感を出してくるホールが少なくないが、この店も例に漏れずその類。
接客なんてするタイプの店でもなかったのに、時代の流れかいつの間にか頭を下げるようになった。
でもそれがこの店の精一杯。時代の流れに取り残され、よかった時代にあぐらをかいた結果。
パチンコ屋に限らず、全ての業種に言える事だが、法律の変化、人口の変化、科学の進歩、為替相場や世論の動きなど、そう言った時代の流れに取り残されると、
よかった時の意見だけ言うようになって、現実を直視しない。
良かった時代が良すぎたパチンコ業界はコレが躊躇に現れている。
買取所にて特殊景品を売却。知人が付き添ってくれて、売却後に買取所のおばちゃんに、『この人が最後のお客さんです』の合図をしていた。
ああ。懐かしい。
こう言った光景はどんどんなくなって行く。
なくなって言ったほうがいいと言う意見もあるし、それを頷けるだけの材料もある。
実際にあってはならないものを後出しでグレーにまでして存続させられて来た業界であるからして。
存在が当たり前ではないのだから、いかなる処遇も受け入れるべきと言えばそうではあるが、
個人的には
娯楽と言えたあの頃に戻れたら、少し嬉しい気もする。
それと同時に、
俺自身が昔に戻りたがっているんだなと、
俺自身が現実を直視していないんだなと、
そう感じて物思いにふけってしまった。