たこやき話

じぃじ、仕事を嫌う

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土日明けの月曜日。二日間の通し勤務を経た平日の3時間修行。

こんなにも3時間で解放される事を嬉しく感じられるものだろうか。
自分から望んで求人も出ていなかったお店に頭を下げ、修行を持ちかけ了承してもらった立場にも関わらず…だ。
俺はなんて身勝手なんだろうと思うも、それでも続けないと見えてこないものもきっとあるはずだと、それだけが今の俺を奮い立たせる材料。
つまり、見えていない。現状全く何も見えていない。
何をしたくて、何を学びたかったのか。何を意気込んで俺はここにいるのか。さっぱり分からん。見えない何かを探して奮い立たせる。我ながらよく分からん。
そんな憂鬱にも似た感情を持ち合わせお店に到着。いつも通り鉄板の焦げ落としに取り掛かる。
教わった事も出来ない様なら、今までの自由な生き方で何も得なかったと立証してしまう様なもの。そんな事したくないから、せっせと覚えた事をこなす。
すると先輩から声がかかる。
『ちょっとたこ焼き焼くところ見てようか』
凹み気味の俺に目標を見出したくれる様な灯台の光か。俺はたこ焼き屋をやるんだ。
世界一のたこ焼きとともに、おもろい未来を目指すんや。
たこ焼きを焼く工程と、それに伴う作業を一連の流れで一度だけ見る。
そして焼く部分だけを繰り返し2度ほど見る。
一通り見させていただいた時間、累計およそ10分にも満たない程度だろうか。
見終えたところで、また鉄板の焦げ落とし作業へ戻る。
一瞬の勉強時間ではあったが、俺の気持ちは間違いなく、ブレずにたこ焼き屋に向かっている事を再度認識できた貴重な時間であった。
だが、問題はそれを現実にする事。
それが出来るかは自分の努力と、要所要所の決断と選択。
自分を追い込み、ケツを叩いて、鼓舞して、猪突猛進でやりこむ事も大事ではあるが、
視野を広く自分にとって何が大切か、必要である事柄の選択肢を誤らない様にしなければならない。
もう遠回りしたり、立ち止まっていられる年齢ではない。
先輩の言葉では、翌日、再度作業工程一覧を見て、一週間でたこ焼きをマスターさせるとのこと。
期待に応える事が、先輩やお店への感謝になり、自分の成長につながるという事を肝に命じ、
いつも通りの鉄板焦げ落としに精を出した。そんな久々の平日修行。